インタビュー

タイリーグ11年目。トラートFC所属・片野寛理選手インタビュー!

今回は、タイリーグ2部・トラートFC所属の片野寛理選手にインタビューを行いました。
タイでプレーして11年になる片野選手は、なんと本日4月6日が40歳のお誕生日です!このインタビューを読んだ後は、ぜひ片野選手にお祝いのメッセージをお願いします!

片野寛理選手の経歴

プロフィール

名前:片野寛理(Hiromichi Katano)
生年月日:1982年4月6日
出身地:千葉県船橋市
身長体重:179cm/78kg
ポジション:DF
所属クラブ:タイリーグ2部トラートFC
背番号:4
SNS:Instagram/Twitter

インタビュー

30歳を前に初の海外挑戦


-片野選手、本日はインタビューの時間をいただきありがとうございます。片野選手はタイリーグでプレーをして11年になりますが、そもそもタイに来られたきっかけは何だったのでしょうか?
「29歳の時にそれまでプレーしていたJリーグのクラブをアウトになり、いくつか話はあったのですが、行きたいクラブが見つからない状況でした。そこで、30歳を前にして何か挑戦をしたいなと思った事がきっかけです。過去に一緒にプレーしていた久保田勲選手に「タイがいいんじゃない」と勧められたのもあります。」

-それまで海外経験やタイに行かれたことはありましたか?
「海外経験は中学生の時に姉とニューヨークに行ったことしかなく、タイがどこなのか、アジアなのかもわかっていませんでした。笑」

-そうだったんですね。中学生でニューヨークというのもお洒落ですが、実際タイに来た感想はどうでしたか?
「最初は現地コーディネーターの方にトライアウトを受ける予定のクラブに連れて行ってもらったのですが、クラブに着いたときにそのチームが揉めてるから別のところに行くと言われ、それで次に行ったのがオーソットサパー・サラブリーFCでした。サラブリーFCと契約し、そのクラブでは4年プレーしました。」

10年プレーして変わったこと。変わらないこと。


-11年経った中で、チーム内での立ち位置の変化はありますか?
「年齢による変化というよりは、ポジションが変わったことによる立ち位置の変化がありました。当初タイに来たときはサイドバックで守備や攻撃を強化するための役割をしていました。今はセンターバックをやっているので守備の要でもありますし、クラブによってはチームの中心になります。ただ外国人選手としてチームを勝たせられる存在という面で求められるものは変わっていないですね。」

-外国人選手だから、チームを勝利に導くことが求められるということですね。
「そうですね。1対1に強い、点が取れるとか監督の信頼に答えられるというのはこの10年変わっていないです。ただ自分のプレーとして、元々は相手のペナルティエリアにバンバン入っていくような超攻撃型サイドバックだったのが、今は声をかけてチームを構築していく、ビルドアップしていく形でチームを勝たせる仕事に変わってきているかなとは思います。」

サイドバックからセンターバックへの”戦略的”コンバート


-ポジションを変えたのはいつ頃なんでしょうか?
「2015年シーズンにタイリーグの外国人枠が減りました。その結果、CB、中盤に1人、FW+サイドアタッカーとか、今は3-4-3が主流だったりするんですが、センターバック+前線の3人を外国人にしたりと、サイドバックに外国人選手を置くということがほぼ無くなりました。

そこでポジションをチェンジしてセンターバックで売っていこうとなったんですが、4年もいるとサイドバックの片野寛理というイメージがついてしまっていたので、やはり試合でも使ってもらえないんですよ。それで、ここにいても可能性はないなと思って、センターバックの片野寛理という実績を作るために香港に行くことにしました。」

-すごい戦略ですね。
「結構賭けだったんですけどね。笑
タイよりレベルは落ちるんですが、その時はそこしかなかったのでタイに戻ってくる前提で半年、実績を作るために行きました。香港とタイリーグは開幕が半期ずれていたので香港リーグの後期(秋春制の春)から入って、春秋制のタイリーグの後期(春秋制の秋)にセンターバックとしてスコータイFCに加入しました。」

-それ以降はセンターバックとしてご活躍されているんですね。
「その時本当に良かったのは当時スコータイFCは今でいう2部だったんですが、1部に昇格できたんですね。翌シーズンの監督は今も一緒にやっている監督だったんですが、そこでシーズンハイの7点を取れてセンターバックの片野という風に見てもらえるようになり、2017年はACLのプレーオフにも出場できました。」

コロナ禍で2年家族とは会えなかった


-その後、コロナ禍に入ると思うのですが、お子さんと長いこと会えなかったと伺いました。
「2年間会えませんでした。2020年、家族がタイに来る直前に新型コロナウイルスの流行が始まってしまい来れなくなりました。リーグも中断していたんですが日本に帰国して(タイに)戻って来れずに契約解除になった選手もいましたし、今のように行き来できる状況ではなかったので難しかったですね。今は一緒に住んでいますが、いつも一緒に遊んでいます。」

コミュニケーションではリスペクトする気持ちを大切に


-現在トラートFCでプレーされる中で、チーム内でのコミュニケーションで心掛けられていることはありますか?
「ちょっかいを出されてもイラつかないこととかですかね。チームメイトとはよく話すんですが、それでも自分は(タイ人選手から見て)外国人なので中にはどうコミュニケーションを取ったら良いか分からないと思っている選手もいます。外国人の助っ人選手がどんなによくてもタイ人選手は7人フィールドにいるわけで、試合に勝つ要素を握っているんですよ。そうなるとやはりタイ人選手とのコミュニケーションはすごく大切です。

なので、色々な方法で接して来てくれる彼らに対して、気が乗らないとか考え事しているとかで自分のことを優先してしまう選手もいると思うんですが、自分はなるべく話しかけられたりご飯に行こうと誘われた時にはそれを優先するようにしています。」

-自分の都合を優先するよりは相手の好意に答えることを優先する感じでしょうか。
「はい。こちらから話しかけに行ったり、調子どう?という話もしますし今は大分タイ語も話せるようになったので冗談を言ったりもできますが、タイに来たばかりの頃は言葉が分からないなりにずっとそれを心掛けて来ました。外国人選手に対しての上下関係というのはタイ人はあまりないんですが、そういう関係の中でも敬語を使ってきたり、リスペクトされ出したら認められたということかなと思います。」

-その辺りが、今まで11年間続けてこられた大切な要素なんでしょうか?
「自分が1番上手くて誰にも負けないという気持ちでプレーをして、そういう姿を見せ続けることはすごく大切だし当然のことだと思います。ただ1人ではプレーはできないので、お互いをスペクトしあっているという感じですね。」

タイリーグの良いところと課題


-タイリーグの良い点や、改善できるのではという点があれば教えてください。
「ひとつは契約の問題です。タイのクラブはビザを契約期間だけしか出さないことが多いので、外国人選手はクラブとの契約が終了するとすぐ帰国しなければならなくなります。そうなるとタイで他にしたいことがあったりしてもできないですし、選手の家族も大変です。ビザの件は1例ですが、選手にのびのびと戦ってもらう、クラブを愛してもらうという点においてそういう部分にも優しさがあるといいなと思います。

もうひとつは良い面でもあり悪い面でもあるんですが、プロフェッショナル感がない選手がいることですね。時間を守らなかったり、辛かったらすぐ休むなどそういうマインドはピッチ上でも出てしまうので変えていった方が良いかなと思います。日本人から見てよくいうのは、タイ人は”マイペンライ(問題ない、どうにかなると言った意味)”といってすぐ流すということ。ですが失敗を引きずらなかったり、負けてチームが険悪になるより明るい方が良いこともあるので長所にも短所にもなり得る部分だと思います。タイ人は人柄もすごく良いですし。」

1部昇格が今シーズン最大の目標


-最後に、今後の選手としての目標について教えてください。
「まずはチームが昇格することが今シーズン最大の目標ですし、それに伴って優勝できたら最高かなと思っています。今、上手く勝ち続けられないフラストレーションはみんなの中にとてもあるんですが、それは自分たちの目標設定が高いからこそです。ガンガン点を決めたり、自分たちのサッカーをしようとしているのはとてもいいことだと思っています。戦術がどうとかは色々ありますが、力でそれを示してやっていくだけだと思っています!!」

インタビューを終えて…

チーム移動中のバスの中からインタビューに答えてくださった片野選手。
タイリーグでのポジション事情やそれぞれの役割など、これからのサッカー観戦がさらに楽しくなりそうなお話を随所に盛り込んでお話してくださいました。
昇格がかかるタイリーグ2部は残り4試合。本日お誕生日を迎え40歳になった片野選手の活躍を応援したいと思います!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!