長い長いタイリーグ2021-22シーズンの全日程が終了しました。
リーグ前半は新型コロナウイルスの影響が色濃く残っており、スタジアムへの入場人数や声出しの制限がありましたが、スタジアムにも段々と日常が戻ってきました。
リーグが終盤に近づくにつれ、制限があったことがはるか昔に感じられるほどスタジアムで多くのファンが応援していた事が印象に残っています。
本記事では、①リーグ②代表③タイ人Jリーガー、そしてタイサッカードットコムの活動を通して今シーズンを振り返っていきたいと思います。
リーグ戦総括
日本人監督の躍進
2021-22シーズンのタイリーグを語る上で欠かせないのはやはり日本人監督の躍進です。
今シーズンのタイリーグ1部では、ブリーラム・ユナイテッドを石井正忠監督、BGパトゥム・ユナイテッドを手倉森誠監督、そしてサムットプラカーン・シティFCを吉田靖監督が率いていました。
ブリーラム・ユナイテッドがリーグ優勝
優勝を果たしたブリーラム・ユナイテッドですが、シーズン序盤には突然の監督交代と不安の残る出来事もありました。横浜F・マリノスからタイに復帰してきたティーラトン、そして全北現代(韓国)から復帰してきたササラックと、似たプレースタイルを持つ2人のタレントを抱え選手起用に苦労をしている面も見受けられましたが、石井正忠監督の就任後はチームがどんどんまとまり、戦術面でも進化したように見えます。
また、今シーズンのブリーラムにおいてタイ代表スパチャイの目覚ましい活躍は記憶に新しいのではないでしょうか。
タイリーグでは得点ランキングのトップ5に入ってくるのは外国人ストライカーが多い傾向にありますが、今シーズンはスパチャイがゴールを量産し、リーグ戦では14ゴール5アシストと大活躍、残念ながらシーズン終盤に怪我をしてしまい得点王にこそなれませんでしたが最後までサポーターをワクワクさせてくれました。
まだ23歳と年齢的にも若く、身長も185センチと体格に恵まれている選手だけに、将来的には海外でのプレーを見てみたいと思わせてくれる選手です。
同じくブリーラムで活躍した期待の若手スパチョークは、コンサドーレ札幌への期限付き移籍が発表されました。チャナティップ(過去にコンサドーレ札幌に所属)とは異なるプレースタイルを持ち、スピードがありドリブルで持ち込み、自ら得点し試合を決めることができる選手です。札幌では2シャドーの左がベストポジションと思いますが、どのようなプレーを見せてくれるのかが楽しみです。
代表戦総括
ワールドカップ出場の夢破れる
タイ代表の2021年は正直苦しい滑り出しでした。コロナ禍でJリーグでプレーしていたチャナティップとティーラトンを招集できず、カタールワールドカップの2次予選で敗退。これにより、元日本代表の監督でもある西野朗監督が解任されました。近年東南アジアではトップクラスの実力を誇っていたタイ代表ですが、ここ最近は他国のレベルも上がってきておりベトナムに主権を奪われていた感じさえしていました。
そんな中就任したのは元バンコクユナイテッドのアレクサンドレ・ポルキング(通称:マノ)監督です。バンコクユナイテッド時代には優勝こそないものの、チームを上位争いに持っていくなど活躍されていました。タイで監督を長くしていたこともあり、タイ人選手の良さを理解しタイ代表監督には適任と納得できるタイサッカー協会の判断だったと思います。
ワールドカップの夢破れる
不安と期待の混じった中で迎えたスズキカップ2020は、なんとグループステージを無敗で突破するという好調な滑り出しで幕を開けました。
2試合で勝敗を決める準決勝では近年ライバル関係にあるベトナム代表と対戦することに。第1戦ではタイのエース・チャナティップが2ゴールの活躍で勝利、続く第2戦はスコアレスドローと、2戦合計2-0で決勝へ駒を進めました。
決勝の相手はサッカーの成長が著しいインドネシア。第1戦では、またも頼れるエース、チャナティップが2ゴールでチームに勢いを与え4-0の勝利。第2戦ではインドネシアも粘りを見せ、2-2の引き分けに持ち込まれましたが、2戦合計のスコアが6-2となり2016年以来6度目の優勝で幕を閉じました。
2022年のワールドカップへの出場はできませんが、2023年のアジアカップ予選を勝ち抜いて、是非また日本との対戦を観たいタイ代表です。
タイ人Jリーガーの活躍
タイでのJリーグの人気は高く、Jリーグでプレーすることが夢のタイ人選手が多くいることは間違いありません。
実際にコロナ前までは、チャナティップをはじめティーラシン、ティーラトン、ティティパン、カウィンなどたくさんのタイ人選手がJリーグを盛り上げていましたが、現在は川崎フロンターレのチャナティップ、FC琉球のシティチョークのみがプレーする少し寂しい状況となっていました。
そんな中、先日発表されたコンサドーレ札幌へのスパチョークの移籍、C大阪へのチャウワットの移籍はとても嬉しいニュースでした。
タイ人選手は比較的小柄な選手が多いですが、足元の技術が高い選手が多く、フィジカルよりテクニック重視の日本のサッカーとの相性は良い印象です。チャナティップに関してはコンサドーレ札幌で活躍し、昨年の優勝チームである川崎フロンターレにJリーグ史上最高額の移籍金で移籍しました。ティーラトンに関しては横浜F・マリノス時代にレギュラーとしてリーグ優勝を達成し、日本のファンのみならずタイ人ファンの多くに名前を知られたと思います。
コロナが落ち着いてきた今、タイ人選手の移籍が活発になり、日本でプレーする活躍する姿を見れる日が楽しみですね。
TLC的Jリーグに推薦したいタイ人選手
FW スパチャイ
スパチャイ・ジャイデッド(Supachai Jaided)
ブリーラムユナイテッド #9/23歳/185cm・71kg
今シーズン14得点と爆発した長身のセンターフォワード、得点能力だけではなくビルドアップやサイドの選手のサポートもでき柔軟性がある。
Jリーグのどのクラブでもフィットできそう。
MF ウィーラテップ
ウィーラテップ・ポンパーン(Weerathep Pomphan)
ムアントンユナイテッド #18/25歳/182cm・68kg
アンカーの選手だがセントラルミッドフィールダーとセンターバックと3バックの真ん中を器用にこなす。ボールの扱いが上手くパスセンスもある。
浦和レッズが獲得する噂もありポジションを流動的に動かすチームでは重宝されそう。
DF ササラック
ササラック・ハイプラコーン(Sasalak Haiprakhon)
ブリーラムユナイテッド #2/26歳/173cm・62kg
超攻撃的な左サイドバック、ポジション取りが上手く守備意識も高いのでJリーグのどのクラブでも活躍できそうだが、横浜F・マリノスのようにサイドバックが得点に絡む機会が多いチームではより輝くのではないかと予想。
タイサッカードットコムの総括
今シーズンもタイサッカードットコム(以下:TSC)をお読みいただきありがとうございました。TSCは今シーズン、タイリーグ、タイ代表、日本でプレーするタイ人選手、タイでプレーするタイ人選手など全てひっくるめて『タイサッカー』と定義し情報発信を行ってきました。
今年からTSCは新たに2人メンバーを迎え3人体制になりました。この体制変更により、日本在住の管理人が伝えられない情報やプレーや戦術面での細かい情報を発信できるようになり、TSCはかなりパワーアップしたと感じています。
また、5月にはDesporte JFTL2022(在タイ日本人フットサルリーグ)とメディアパートナー契約を結び、より発信の幅が広がりました。
日本ではなかなか観ることのできないタイリーグ、タイ代表戦ですが、今年の1月に行われたAFFスズキカップはなんとYouTube上で試合の生配信が行われ、住んでいる場所に関わらず多くの皆様と感動を共有することができました。いちメディアとしてできることは限られていますが、今後も『タイサッカー』全体を盛り上げられるように情報発信を行っていければと思います。
最後になりますが、お忙しい中インタビューに協力してくださった選手、監督の皆様、オンラインでのイベントに参加してくださった皆様、そしていつもTSCを応援してくださる皆様の存在がありTSCは成り立っています。今シーズンも本当にありがとうございました。